全10話の「神々の戦い」

2020.09.24 Thursday

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     日本で放送されるのは全10話のヒストリーチャンネルの「神々の戦い」というシリーズを観ました。神話学に該当するシリーズだと思います。主にギリシア神話についてのシリーズです。キリスト教からの影響が単にあるのみでなく合致した神話として扱われているのは、このシリーズではベオウルフのみです。神話が生まれた背景の解説や宗教学上の位置付けがされています。日本では会計学者が科学でも信仰でもなくオカルトを吹聴する際に神話を利用することがあるようですが、僕はそのような利用をする気はありません。ホメロスより少し後のギリシア語ではありますが、古典ギリシア語を学ぶ刺激になる、ということが僕にとっての主なメリットです。ギリシア神話は西洋古典学とも関係するので、西洋古典学に関心のある学生は観るとよいシリーズです。

     

     キリスト教徒は対立のあったギリシア神話について知っておくことで、現代の西洋を形成する上でキリスト教が果たした役割を理解することができたつもりです。ギリシア神話の神々はキリスト教の神のような絶対善ではなく、またギリシア神話の倫理観はキリスト教の倫理観と対立するところもあります。宗教面では絶対善を求めて世俗道徳としては思考停止のない善を求める、現代の西洋の主流な発想はキリスト教あってこそだとこのシリーズを観ると感じるのです。キリスト教主義の大学で学ぶ学生は、聖書を読んだ上で、西洋とキリスト教との関係への理解を深めるためにこのシリーズを観るとよいです。

     

     このシリーズの難点としては、日本語吹き替え版を視聴する場合には、原文が何であるかよく分からない箇所があることです。また10年以上前に制作されたシリーズなので、最近の学説が反映されていないおそれがあることも難点です。僕は神話学には詳しくありませんが、西洋古典学はここ10年くらいの間も発展を続けているので反映しておくのが望ましいです。

     

     なお、日本に住むキリスト教徒の多くはベオウルフを好まないかもしれませんが、僕にとってベオウルフはなかなかに好みの神話です。ベオウルフが好みか否かはキリスト教神学のどの学説に賛同しているかによって異なってくることでしょう。

     

     

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    納税者権利憲章の有無と文化

    2020.09.22 Tuesday

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       租税論を学んでいる学生は、納税者権利憲章という発想を聴いたことがあるかもしれません。アメリカでは納税者は連邦政府に対して義務を負うからにはその義務を履行する権利を連邦政府から保障されるべく、納税者権利憲章があります。日本にはまだ納税者権利憲章はありません。

       

       ここまでは知っている学生もそれなりにいそうですが、この差異の理由も考えると学術的には面白いでしょう。 (僕とは公私にわたり関係が悪い、) 日本国内でも有力なある日本文化研究所の所長は、ある主体にとっての責任と権限は一致しなくてよい、としていました。それが日本文化なのでしょう。一方でアメリカ文化では責任と権限は一致しなくてはならない、としていることでしょう。 (むしろ、責任と権限が一致しなくてよいとするアメリカの大学教員としてご存知の先生は読者の皆様にとって一人でもいますか?) つまり納税者権利憲章の有無にはその国の文化が反映されていそうなのです。

       

       なお、アメリカ文化を推す僕は、納税者権利憲章を日本でも設けるべきだと思っています。そして文化を専門に扱う人類学でも今日では、会計学のみでなく人類学においても先進地である西洋の人類学者は異なる文化間を必ずしも対等とはしていません。

       

       

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      喜ぶべき日本的学生の減少

      2020.09.21 Monday

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         データを見たわけではありませんが、日本的学生はかつてよりは減少しているようです。学問が尊重されるようになるので、また徳育上も望ましいことなので、喜ぶべきことです。日本的学生と呼ぶべきは、学問に理解がなくかつ日本文化に沿った学生です。アメリカの大学に大勢いる勤勉な学生とは対照的です。10年から20年くらい前の日本的学生は集団心理が横行するコンパに夢中になるなど集団主義ならではの利己主義の限りを尽くし、日本的大学教員による専門ゼミのコンパ参加強要などの日本的行動に便乗して、勤勉な学生の教育を受ける権利やその他の人権を侵害していました。ただし今でも、日本的大学教員もおそらくそうですが、日本的学生は可能な限りの悪事を働いていることでしょう。今後も、日本文化の言いなりにならない学生に支援をできる環境にいる人々は、人権擁護のためにもそうした学生への支援をしていくべきです。

         

         

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        応能負担の基盤

        2020.09.17 Thursday

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           アメリカでは名実ともに守られているように見え、日本では名目だけのように見える、租税の原則たる応能負担は知名度が高いですが基盤となる発想が明示されないことがあります。大学などの高等教育機関で会計学を学ぶ学生は応能負担について聴いたことはあるでしょうが、基盤となる発想が何かを考えたことがあるとは限りません。そこで基盤となる発想はこれだろう、と僕が検討を付けているものを示しておきます。

           

           アメリカでは功利主義が政策決定に影響力を持っている思想の一つであると、日本でもテレビ番組で知名度が高まったであろうサンデル先生は唱えています。応能負担に反する税である消費税が貧困層の衣食住に支障を及ぼすと、貧困層は大きな苦痛を受けます。この大きな苦痛を回避するために政府は消費税を避けるべき、と功利主義であればなります。一方で富裕層は応能負担で税金が多少は高くても大きな苦痛は受けません。ラッファー・カーブを考えれば消費増税は歳入確保上も怪しいのですが、応能負担からも消費増税は問題があるのです。そしてアメリカは多少の社会問題はありつつも、日本とは異なり倫理学を政策決定という実務にかなり活かすことのできる社会なのです。

           

           日本の会計学者は応能負担に反対していることがあります。同じ会計学者が、学問を重んじるがゆえに積極的に学習しようとする学生を多少学習機会がなくなっても打撃は小さいとして犠牲にしてもかまわないとすることがあります。学問を重んじる学生にとって学習機会がなくなることは、ほとんど学習したくない日本的学生が学習機会をなくすよりも深刻な苦痛となります。こうした日本の会計学者が言っていることは功利主義に基づかない、単なる悪しき日本文化です。もし積極的に学習しようとする学生を虐げず単に応能負担に反対する会計学者がいるならば、結論は誤っているでしょうけれども、もちろんそれは学問の自由です。

           

           

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          日本でも信用金庫はNFPではない

          2020.09.16 Wednesday

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             今年発表したセネカからヒントを得た僕の論文は、英語圏では何日本の学界にとっても意味を持つものです。ただし独立した論文や研究ノートにするほどのことではないので、どんな意味を持つかここで示しておきます。この記事は当該論文の日本の研究者や実務家向けの拡張パックのようなものです。

             

             結論としては、日本でも信用金庫はNFPではないことが分かります。全国信用金庫協会は、信用金庫をNFPと位置付けています。さらに実務界のみでなく日本の学界においても、こうした発想はあるようです。 (しかもある有名な日本人会計学者が口頭でこの発想をここ一年の内に唱えていた気がします。) 配当をしないことをNFPの要件の一つと日本の会計学者たちも通説的には唱えつつ、一部の会計学者は例外を認めることがあるのでしょう。信用金庫は配当を目的とはしないものの、配当可能です。僕はセネカの唱えたストア派の徳に基づいて、当該論文で配当がないことがNFPの要件の一つでありCBも例外ではないと示しました。よって日本においても上記の例外は認められず、CBの一種である信用金庫は実はNFPではないと分かります。詳しい論拠は当該論文をお読みください。

             

             参考文献には当該論文を明記してほしいですが、僕に反論する論文や研究ノートであっても歓迎しますし、僕としてはそれが英語ではなく日本語でも構いません。ただし信用金庫に公益性があることは当該論文からは否定されませんし、僕はむしろ信用金庫に公益性はありうると少なくとも感覚的には思っています。

             

             

            参考文献

            Fuminobu Mizutani, "Are Cooperative Banks Not-for-Profit Organizations? A Hint from Seneca", Journal of Humanities, Art and Social Science, 4 (2), 2020.

            全国信用金庫協会『一般社団法人全国信用金庫協会』全国信用金庫協会、最終更新2020年 (https://www.shinkin.org)。

             

             

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            「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」鑑賞

            2020.09.08 Tuesday

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               今日、国立西洋美術館で開催されている「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を鑑賞してきました。ロンドン・ナショナル・ギャラリーは民間主導で創設された美術館という点が面白いです。また、ロンドン・ナショナル・ギャラリーはイギリス絵画のみでなく他の国々の絵画をも所蔵している美術館です。

               

               ゴッホの≪ひまわり≫は類似の作品がいつかあるようですが、今回展示されたものについては日本初公開です。そして国立西洋美術館としても今回の目玉作品と捉えて、展示場の工夫をしているようです。全体的に黄色っぽい作品でした。絵具が塗りたくられています。

               

               今回の展覧会で僕が一番好みなのはバルトロメ・エステバン・ムリーリョの≪幼い洗礼者聖ヨハネと子羊≫です。理由は、子羊が可愛いからです。特に子羊の鼻の描き方は可愛さを引き立てています。僕はそもそも絵画の中でもスペイン絵画は特に好きです。日本でもエル・グレコあたりは有名でしょうし、僕も今回展示されていたエル・グレコの作品は中々に好みでした。バルトロメ・エステバン・ムリーリョは日本ではマイナーでしょう。

               

               ゴッホやエル・グレコを含め、日本でも有名な画家の作品が多数展示されているので、それだけであってもこの展覧会は豪華です。マイナーな画家の作品でも好みであれば僕にとっては十分なので、それを超えた豪華さがある展覧会です。またキリスト教関係の絵画もそれなりの数があるため、キリスト教主義の大学の関係者は鑑賞してみると特によいかもしれませんね。

              『だれもが知りたいキリスト教神学Q&A』読了

              2020.09.05 Saturday

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                 今日、ホイートン大学のキリスト教神学の教科書『だれもが知りたいキリスト教神学Q&A』を読了しました。和訳では砕けた日本語タイトルになっていますが、学術書です。古代地中海世界への理解を深めて研究に活かすことが読んだ目的でした。この教科書の著者の多くのキリスト教理解は、日本では主流ではないキリスト教理解でしょうが、僕にはほぼ抵抗感なく読めました。特に筆頭の編者であるバーグ先生はさすがの腕前です。マクグラス先生の有名なご著書は入門者が挑戦するには分厚い気がするので、神学の全体像を入門者でも分かるように語ってくれている英語圏で書かれた書籍としては、ホイートン大学のこの教科書がここ10年くらいのもので最良かもしれません。そしてホイートン大学は、アメリカの名門大学でありこの教科書はアメリカでは影響力がありそうです。

                 

                 正確な和訳であるか気になる箇所が一部にあったということ以外には、右記の点が疑問点です。べコート先生の207ページから210ページまでの節ですが、聖書に反しているのではないでしょうか?特に209ページの第2段落では、イエスの山上の垂訓での一部の人々を犬にたとえた聖句に反したことが書かれているように見えます。隣人の定義については、グッド・サマリタンの話も無視されているように見えます。さらには旧約聖書の血の復讐の発想は新約聖書で全否定されたなどと言えるのでしょうか?べコート先生は僕にとって賛同できることもおっしゃっている先生ですが、この問題の節はべコート先生による他の節との整合性も少々怪しいです。

                 

                 

                参考文献

                G. M. バーグ・D. ラウバー編『だれもが知りたいキリスト教神学Q&A』本多峰子訳、教文館、2016年 (Theology Questions Everyone Asks: Christian Faith in Plain Language, InterVarsity Press, 2014)。

                 

                 

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                「ときに川は橋となる」鑑賞

                2020.09.03 Thursday

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                   昨日、東京都現代美術館でデンマーク人の芸術家オラファー・エリアソン氏の展覧会「ときに川は橋となる」を鑑賞してきました。この展覧会での出展作品の一つが展覧会の名前の由来にもなっています。会場は仕切りの影響でやや迷路のようになっていました。この展覧会を鑑賞したのは、僕にしては珍しく学術目的ですので交通費を公費で申請できると思いますが、もう僕が使える研究費は額が他の用途でオーバーする見込みなので申請しないと思います。また、やはり研究目的で、最近の僕にしては珍しくカタログを買いました。この展覧会を鑑賞して学術にどう活かすかは、気になる方々には後日分かるかと思います。他の展覧会や常設展については、お腹にチクチクする痛みがあったので鑑賞するのは無理で、「ときに川は橋となる」を鑑賞し終えてから帰宅しました。そのため、建物のどのあたりを東京都現代美術館が改修したのかは、僕にはまだ分かっていません。

                   

                   芸術的な側面でも、この展覧会は僕の好みです。難解と思われがちであろうコンテンポラリー・アートでありながら、エリアソン氏が何を考えているか分かれば楽しみやすい作品がいくつもありました。≪ときに川は橋となる≫は、物理的に大掛かりですが、東京都現代美術館には十分な物理的スペースがあるのです。≪太陽の中心への探査≫はこの展覧会で一番見栄えがするかもしれません。≪おそれてる?≫は色が綺麗です。≪昼と夜の溶岩≫は見た目は地味な作品ですが、こうした作品も僕は好きです。≪サンライト・グラフィティ≫は体験型の作品であり、参加に条件があって僕には割が悪いと感じたので参加はしませんでした。動画≪フィヨルドハウス≫を会場とは別の場所で放映している理由は気になります。企画展の会場内で動画を流すことが、日本の美術館では珍しくないからです。もちろん視聴しました。

                   

                   お腹は、自宅に到着してからもまだ痛かったです。ただし発熱などは特にないので、博物館・美術館の運営者が入館を嫌がるような状況にはありません。

                  読んだペーパー:Blanton (2013)

                  2020.08.31 Monday

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                     今月オンライン版の配信が始まった論文を執筆するために、Blanton (2013) を読んでおいてありました。そこそこの長さがある論文です。キリスト教神学系統の論文集に掲載された会計学の論文です。西洋古典学と神学とを活用した会計史の論文であり、学際的です。民間非営利組織会計と関係が深い論文なので、僕には有意義です。ブラントン先生は神学の研究として、会計史以外の文献も書いておいでです。研究している分野の面白い先生です。

                     

                     セネカを肯定的に評価している僕のような研究者にはブラントン先生のセネカ観は不満かもしれませんが、現代人の意思決定に影響しうる中身のある論文でした。ブラントン先生の論文が掲載された論文集は関東学院大学図書館にも所蔵されている程に有力な論文集であり、ブラントン先生の論文も高品質なのです。英語を読むことを面倒に感じない会計学の関係者は、読んでみるとよいでしょう。

                     

                     僕が論文で書いた小さな反論とは一応は別に、主な疑問点は2点あります:

                    • 405ページの最後の段落について、パウロは生まれは富裕層だと思うのです。ローマ市民権の有無を要件として統計をとっているのか要件としていないのかどちらであろうとも、です。パウロはラテン市民権どころかローマ市民権を生まれながら持っていましたし、ガマリエルから学ぶための学費も払えただろうからです。
                    • 406ページの最後の段落について、そんなことを言っていたら現代の効果的利他主義が成り立たなくなってしまうと思います。そんなこととは何かは、お読みになってのお楽しみとしましょう。

                     

                     

                    参考文献

                    Thomas R. Blanton, , "The Benefactor's Account-Book: The Rethoric of Gift Reciprocation according to Seneca and Paul", New Testament Studies, 59 (3), 2013.

                     

                     

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                    日本簿記学会第36回全国大会出席

                    2020.08.29 Saturday

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                       今日開催された日本簿記学会第36回全国大会にオンラインで出席しました。京都産業大学で開催したという形式となっています。自由論題報告と統一論題報告とは、全て事前に視聴して臨みました。やむを得ない理由があって、数秒だけ遅刻してしまったかもしれませんが、聴く予定でいたお話は全て聴けました。

                       

                       中野常男先生の特別公演には、あまり僕は聴いたことのない日本の固有名詞をいくつか聴けたので聴いた意味がありました。中野先生がなぜか使用していたイノシシの画像は可愛かったです。統一論題報告には、僕も予め質問を1件出してあり、該当する報告者の先生が回答を図っていました。コンピュータと簿記との関係についての話がいくつかありましたが、事前に配信された動画ではどのような見解を報告者の先生たちが持っているのか分からなかった点が今日はっきりとしました。アメリカ会計学会の多くの先生たちと同様に僕はAIにある程度の理解があるつもりであり、開発にも取り組んでいます。そのため、AIに過度の懸念を持ったりコンピュータができることを過小評価したりすることには同意できません。

                       

                       コロナウイルスの流行の中での開催なので準備が例年よりもハードだったでしょうから、準備委員会の先生たちにはご苦労様と思います。

                       

                       

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