読んだペーパー:郡司 (2019)

2019.08.21 Wednesday

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     大阪学院大学の郡司先生の新しい論文を拝読しました。会計学説史から複式簿記の定義を検討なさった論文です。おそらく郡司先生は多くの文献をチェックなさったのでしょう。

     

     疑問点としては2つあります:

    • 7ページ目の第2段落はなぜかが分かりません。
    • ケーファーとコジオールによる単式簿記と複式簿記との区別の背景に加法性や負数忌避がどう関係するのでしょうか?

     

     反論は郡司先生へというよりは日本人会計学者の多くへのものであり、1点あります。郡司先生が多くの日本人にとって自明とする方の複式簿記の定義からすれば、多くの日本人会計学者は古代地中海世界の複式記入をも複式簿記と認めなくてはなりませんが、彼らはそうしていませんね、という矛盾を指摘できるということです。

     

     

    参考文献

    郡司健「複式簿記管見―井尻説・コジオール説・ケーファー説とリトルトン説―」『産業經理』第79巻第2号、2019年。

     

     

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    AAAで初報告

    2019.08.19 Monday

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       今月サンフランシスコのヒルトンで開催されたアメリカ会計学会、略称AAAで論文報告をしてきました。僕はAAAでの報告はこれが初めてでした。タイトルは"Accounting of Jomo Orphanage, 1892-1903"というものでした。学会で英語で論文報告するのはこれが三回目でしたが、今回は英語での質疑応答が満足いく水準でできまして報告が成功しました。報告したその場で、ウェビナールでの改訂版報告に推薦していただけました。聴衆の先生たちも大勢いました。

       

       今回のAAAでは民間非営利組織会計やIFRSやAIといった僕が関心を持っている話題の報告が多数ありました。僕が関心を持っている話題の報告をこれほど多数盛り込んでいる学会は日本にはおそらくないでしょう。さらに僕はIFRSやAIには肯定的ですが(U.S. GAAPとIFRSのどちらがよいかは迷いますが)、日本の学界と違ってAAAではIFRSやAIに必ずしも否定的ではなく、これも共感できる点でした。特に、日本が日本基準の国であるようにアメリカはU.S. GAAPの国でありながら、AAAはIFRSを公正に評価できるところがすごいです。日本の先生たちも含めて大勢の先生たちと名刺交換をしたので、持っていった名刺は英語の名刺も日本語の名刺もなくなってしまいました。もっと名刺を持っていった方がよかったです。

       

       学会終了日の翌日、飛行機に乗る前にウェルズ・ファーゴ歴史博物館に行きました。会計関係の展示もあり、見ごたえがありました。その後で現代ユダヤ博物館に行きました。博物館という名称ですが、現代美術の美術館でした。時期によっては博物館として機能しているのかもしれません。芸術性は感じられました。空港では、空港内にある航空博物館に寄りました。小さな博物館でしたが、空港に博物館があるというのは少し嬉しいです。飛行機では行きはレゴ ムービー2を鑑賞し、帰りはリメンバー・ミーを鑑賞しました。

       

       

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      国籍と宗教の優先順位

      2019.08.18 Sunday

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         僕は日本人である前にキリスト教徒という意識です。日本政府は実際にはほぼ多数派の代表であるのが実態であり、少数派であるキリスト教徒を代表してはくれていないので、日本に帰属意識を持てないためです。

         

         しかし仮にアメリカの市民権をもらったらどういう意識を持つべきか疑問です。実際には僕の当面のアメリカへの渡航は市民権に直結するものでないですが。アメリカはキリスト教の理念に基づいて建国された国で、かつその理念を継承しています。そのためアメリカのキリスト教徒はキリスト教徒である前にアメリカ人という意識を持って問題ないかもしれません。読者の皆様はどういう理由で国籍と宗教のどちらを優先するべきと思いますか?特にアメリカにおいてどうですか?

         

         ところで今日、数か月ぶりにバプテスト同盟の関東学院教会での夕礼拝に出席しました。神からの恩寵に限って言えば、今井館での礼拝よりも関東学院教会での礼拝の方が僕には実感できます。

        非営利法人研究学会第25回関東部会

        2019.08.10 Saturday

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           今日は、非営利法人研究学会第25回関東部会に出席しに横浜国立大学に行ってきました。報告者は初めてお会いした瀬上氏と以前から面識のある古庄先生とであり、ぴったりとは言えないにせよ僕の研究分野とどちらも少なくともある程度関係していました。そして僕は瀬上氏には複数の質問をしました。そして数名と名刺交換できました。

           

           

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          宗教間の対等な和解

          2019.08.09 Friday

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             他の多くの宗教もそうかもしれませんが、僕たちの信仰するキリスト教は様々な宗教と対立を抱えており、和解が望ましいのですがその和解は他宗教への隷属ではなく対等な和解であるべきです。それは平等権の観点からです。キリスト教は人権と親和性の高い宗教なので平等権を守るのがキリスト教的なのです。僕が懸念しているのは、キリスト教の日本化が日本においてキリスト教と人権とを切り離してしまうことです。

            カンニングが悪い理由

            2019.08.05 Monday

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               大学における学生による不正行為の典型の一つがカンニングです。高校までの教育ではカンニングがなぜ悪いかを生徒は十分教えられていない可能性が高いので、悪い理由を考えてみましょう。もちろん法的には業務妨害にあたるから悪いと言えそうです。もっと一般的な倫理からはどうでしょうか。試験の目的の一つは学生の到達度を測定することです。そのためカンニングして到達所よりも高い点数を取ると嘘にあたります。嘘だからカンニングは悪いわけです。

               

               関東学院の経営学部ではカンニングには厳罰で臨んでいますから、倫理観がない学生がいるとしてもカンニングはその学生にとって割に合いません。本来は高校までの教育機関でもカンニングをしないよう生徒を教育してほしいものです。

               

               

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              「表現の不自由展」への弾圧

              2019.08.03 Saturday

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                 愛知県で「表現の不自由展」が弾圧を受けて中止に追い込まれました。僕はまだ「表現の不自由展」を観に行っていませんでした。国粋主義者に都合の悪い芸術作品が出展されていたことは知っています。テロ予告をした犯人が特に悪いわけですが、日本人政治家の一部も弾圧に加わっていました。弾圧に加わっていた名古屋市長は日本国憲法が依拠している自然法思想を結果的に否定する言論までしています。(自然法思想は人権を絶対のものとします。)そして日本は人質事件を見ても人命を平等権などの人権より優先してしまうテロに甘い国です。

                 

                 今回の弾圧は日本が否認主義の国であることを示しているので歴史学者としても不満ですが、芸術作品への無理解という点からは芸術鑑賞好きとしても不満です。メッセージ性を芸術作品が持つことはしばしばあります。有名どころがピカソのゲルニカです。芸術作品は仮に政治色があっても必ずしも芸術性が否定されるわけではないと思いますが、ゲルニカを検討するにせよ僕の知っている範囲で「表現の不自由展」に出展された芸術作品を検討するにせよ普遍的な人道を扱っているにすぎず政治色があるとは言えそうにありません。

                久しぶりにリジェクト

                2019.08.01 Thursday

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                   今日、僕が投稿した論文が久しぶりにリジェクトされたと知りました。日本の論文集への日本語による投稿でした。査読者や編集者からのコメントの中にはもっともではないものもありました。

                   

                   

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                  令和元年度第1回横須賀市研究者交流会

                  2019.07.31 Wednesday

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                     今日はキャンパスでの校務はなかったため、令和元年度第1回横須賀市研究者交流会に出席してきました。八景キャンパスは横須賀付近にあるため、関東学院の教員も誘われていたのです。八景キャンパスは物理的には横須賀と同じ三浦半島にあるのです。参加費は嬉しいことに無料でした。年度は政府系のイベントなので西暦ではなく元号表示なのでしょう。開催場所は神奈川県立保健福祉大学です。医療法人や社会福祉法人を含む民間非営利組織の会計を研究している僕からすると、こうした大学には関心があります。僕は神奈川県立保健福祉大学のキャンパスに今まで行ったことがありませんでした。そもそも最寄り駅周辺で歩いたことがありませんでした。遅刻しそうになりましたがどうにか間に合いました。

                     

                     大学施設見学では、3室 (厳密には+αあり) の (広い意味での) 実験室を見ることができました。いずれも社会科学ではなく自然科学の実験室でした。最後の1室は慶應の日吉キャンパスの実験室と似ていました。他の2室は見慣れない分、見て感銘を受けました。「研究事例の紹介など」では神奈川県立保健福祉大学の大学院に英語のみで修了できるコースがあると知り、関東学院の経済学研究科も真似たらよいのではないかと僕は思っています。交流会では大勢の研究者たちと名刺交換ができました。特に神奈川県立保健福祉大学に、日本ではおそらく珍しいことに、僕と近い研究分野の研究者がいることが分かったのが収穫でした。

                     

                     

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                    ゼロサムであるべきもの

                    2019.07.29 Monday

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                       融通・妥協で生きている多くの日本人はゼロサムではないと言うことを好みますが、論文の誠実性はゼロサムであるべきです。無くなってしまうと不誠実になる文言の削除を第三者に迫られたならば、削除して掲載されるのではなく削除なしでの掲載の強行か投稿撤回を選ぶべきなのです。例えば、何を言っているのかを読者に伝えるために必要な文言です。大学院での教育がうまく機能するかにある程度かかっているのでしょうが、融通・妥協に反対する良心ある少数の日本人に増えてもらいたいところです。

                       

                       ただし上記のような分かりやすいものばかりではもちろんありません。第三者ではなく当該論文集の関係者から迫られたならどう対応するか難しいでしょう。そうした趣向の論文集ということですから、特に不誠実ではないかもしれないからです。また著者ではなく編集者が原稿を書き換えることもあるでしょうから、これもどう捉えるべきか難しいでしょう。自分自身が不誠実なことをするわけではないからです。

                       

                       融通・妥協を振りかざす日本人大学教員は同時に職人文化を妥協せず押し付けてくることもあるのは、不思議なものです。日本社会は融通・妥協を強要する社会なので融通・妥協への抵抗は難しいですが、融通・妥協への反対者は職人文化を妥協して受け入れるのではなく職人文化の全否定を望むでしょう。

                       

                       

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