『これからの「正義」の話をしよう』読了

2018.05.15 Tuesday

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     先週、ハーヴァードのサンデル先生の教科書である『これからの「正義」の話をしよう』を読了しました。日本語タイトルは一般書のようなタイトルですが、原題はシンプルなものです。学部生が最初に読むべき倫理学の教科書としてはブラックバーン先生のものの方が価値相対主義に直接反論しているので向いていますが、サンデル先生の教科書にも特長はありました。

     

     特長として、リバタリアニズムやカント哲学のことを上手く説明しています。特に普遍性につながるカント哲学については、この教科書を読んでかなり惹かれました。功利主義やアリストテレス哲学については他にも良著があるとはいえ、それらの説明も分かりやすいものです。サンデル先生は授業が人気らしいですが、説明が得意なのでしょう。

     

     一方でサンデル先生自身が採っている学説であるコミュニタリアニズムについては論拠が弱かったです。サンデル先生は自説を展開するのはあまり得意でないのかもしれません。疑問点や反論は多くの章で色々浮かびましたが、特にコミュニタリアニズムに関して疑問点や反論が浮かびました。例えば以下のようなものです。

    • コミュニティの要求はブラックバーン先生の言うエシカル・クライメイトで説明がついてしまうのではないか。
    • サンデル先生と異なり、ヴァチカンは連帯を自然法によるものとしているので、どうサンデル先生は自説こそ正しいというのか。
    • リー将軍の南軍への忠誠は、道徳心と単なる感情あるいは偏見との間の迷いに過ぎないのではないか。

     

    参考文献

    マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう―いまを生き延びるための哲学―』鬼澤忍訳、早川書房、2011年 (Justice: What's the Right Thing to Do?, Farrar Straus & Giroux, 2009)。

     

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    2018.05.23 Wednesday

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