『経営理論大全』読了

2019.12.31 Tuesday

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     今日、イギリスの書籍の訳書である『経営理論大全』を読了しました。狭い意味での経営学を知るうえで、悪くはない内容でした。洋書には秀逸なものが多々あるので訳書だけでも良い書籍はそれなりに入手できるのですが、『経営理論大全』もほとんどの和書と比べると格段に高品質と言えるでしょう。2015年にCMIから賞を受賞した書籍であることに、ある程度は納得です。原著については現在では第2版も公表されているので、十分な部数が売れたのでしょう。『経営理論大全』では、中間管理職が企業の目的に貢献できるようになるための様々な理論が紹介されています。

     

     ファースト・オーサーのマクグラス先生は経営学ではなく教育学の博士号をお持ちです。職人文化のある日本ではマクグラス先生のような経歴の先生が経営学の書籍を公表するのは、不可能ではないにせよ困難でしょう。日本には多芸は無芸と決めつける文化がありますが、少なくともオックスブリッジは学生教育において多方面の知識を与えることを好むのです。ただしマクグラス先生はオックスブリッジではなく、会計学で有名なバーミンガム大学出身です。なお、神学のマクグラス先生とは別人です。セカンド・オーサーのベイツ先生は、慈善団体の経営者でもいらっしゃるので、僕の専門分野とも関係が深いです。

     

     小さな疑問点は色々とありますが、大きな疑問点もあります。大きな疑問点は以下のものです:

    • マクグラス先生たちはマキャベリズムに反対なのですから、シャドウ・サイド理論が「大好き」というのは矛盾ではないでしょうか?もっとも僕も『君主論』は読みましたが、僕はマクグラス先生たちとは『君主論』の解釈も異なります。
    • マクグラス先生はイギリス社会に世襲があることを容認しています。世襲が全国にあることは、企業の目的である最大限の配当可能な利益を産みだす上では全国の企業の足を引っ張ります。中間管理職に公私にわたって世襲の廃絶の努力を勧めた方が一貫しているのではないでしょうか?

     

     

    参考文献

    ジェームス・マクグラス and ボブ・ベイツ『経営理論大全―すぐに使える最強のビジネスセオリー―』平野敦士カール監訳、朝日新聞出版、2015年 (The Little Book of Big Management Theories: And How to Use Them, Pearson Education, 2013)。

     

     

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