ロビンズへの反論

2020.03.11 Wednesday

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     厚生経済学においては基数的な効用の測定が可能としたピグ―に対して、LSEのロビンズからの異論がありました。そのことには、僕はトルコで少しふれました。ロビンズからの異論は、実務において特定の誰かの効用がいくらであるかを測定することは難しいのでその金額を活用した検証や験証に向かず科学的ではない、というものだと僕は理解しています。そしてロビンズからの異論は、今日の厚生経済学では広く受け入れられています。またロビンズからの異論は日本でも知名度があり、例えば木村 (2004) で言及されています。

     

     しかし今日ではSROIがあります。SROIは典型的に基数的な効用の測定を実務に持ち込んでいます。金額で直接測定されていないことについても、何か別の金額で直接測定されるものから数値を持ってくることで測定可能にする、というのがSROIで採られている工夫です。この工夫によりSROIではロビンズからの異論は克服されています。そしてSROIは、ロビンズからの異論が万能でないことを示す反証事例なのです。ロビンズの異論に問題がありそれがSROIで反証される様子は、ロビンズと同じくLSEのポパーの発想と相性が良いかもしれません。

     

     この話はペーパーにしたくても、日本の学界ではSROI反対が主流なのでなかなか載せてもらえないでしょう。皆様はこのロビンズへの反論について賛成ですか、反対ですか?それはなぜですか?

     

    参考文献

    木村雄一「ライオネル・ロビンズと効用の個人間比較」『經濟論叢』第173巻第2号、2004年。

     

     

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    厚生経済学での功利主義への批判に応じるには

    2020.03.10 Tuesday

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       SROIに関する議論は厚生経済学とも結びつく面があります。旧来の厚生経済学は、功利主義の影響を受けることもありました。厚生経済学において、近年では客観的に見れば抑圧された環境にいるのに満足度の高い人々の事例が、旧来の厚生経済学への批判として挙がっています。日本語での厚生経済学関係の文献では、南アジアの事例を用いているものを見かけます。功利主義のみ批判されているわけではありませんが、功利主義よりも自然法思想の方が望ましく見えかねない事例ですね。(僕は自然法の存在は否定していません。) 事例としては学術的には面白いですし実務的にもそこから何か言えるかもしれませんが、この批判には応じることができます。

       

       旧来の厚生経済学への批判者たちもここは否定しないでしょうが、まず、満足度の決まり方を当事者たちに形成させるプロセスに問題があるのです。そして功利主義からすれば、プロセスの途中での当事者の苦痛をカウントすれば現在という一瞬での満足度が高くてもその当事者にとっての総合的な満足度は低くなるでしょう。よって、旧来の厚生経済学を批判に用いられている事例から否定することはできないのではないでしょうか?

       

       独立した論文にする程の考察は現時点ではしていませんが、これは僕のしているSROIの研究にも関わってくるかもしれないことです。皆様はどう考えますか?理由は何ですか?

       

       

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      シリア難民とアラブ諸国

      2020.03.09 Monday

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         国際法による法的責任は別として、シリア難民を受け入れる道義的な責任はヨーロッパではなくさらにはトルコですらなくイスラエルとパレスチナとの関係でパレスチナに味方するアラブ諸国にあるのではないでしょうか。(パレスチナに味方しないアラブの国があればその国は対象外です。) トルコとは友好的なのでトルコは難民受け入れが多い国の中で例外でも、ヨーロッパを含む西洋には敵意を持つ人々がどうやらそれなりにおり、かつアラブ諸国と友好的なのが日本です。そのためこの発想は珍しいでしょう。パレスチナに味方するアラブ諸国は、アラブ人の国々でありかつイスラム教国です。つまりシリアと同じなのです。ヨーロッパにイスラム教国かつアラブ諸国に該当する国はありません。トルコ政府が何らかの打算で動いているのか法的責任や道義的責任を意識しているのかは僕は存じません。しかしトルコはイスラム教国ではあってもアラブ諸国には含まれません。もちろん、シリア難民の内で少数民族やイスラーム以外の信徒は例外です。

         

         誰かにとって必要であることが、他の誰かが義務を負うことには必然的にはなりません。日本人には不当な要求を誰かにする際にここをこじつける人がいますが、それは避けなくてはなりません。受け入れる側の国々の過大負担を避けるために民族や宗教の親和性は必要条件ではありますが、受け入れる義務があるとなる十分条件ではないのです。しかしパレスチナに味方するアラブ諸国は、宗教や民族が同じことからの連帯を味方する理由の建前としているのではないでしょうか。もしこれが合っているならば、シリア難民は受け入れないというのは矛盾です。矛盾というものについて日本人の一部は矛盾していて何が悪いと開き直りますが、理性に背きます。さらにイスラームは少なくとも建前上は理性に価値を認めているようです。

         

         なお、シリア難民を受け入れるアラブ諸国がパレスチナに味方しなくても矛盾はしないでしょう。日本では公正な報道が限られているようですが史実からすればパレスチナはイスラエルに対してどちらかと言えば加害者です。(このことについては英語で容易に文献が入手できます。) そして、連帯しているからこそ他の勢力への加害を止めるという発想もしうるからです。一方でシリア難民の受け入れは人道的たりえます。実際に建前上は人道的なヨーロッパは難民受け入れの努力が顕著です。もちろんパレスチナに味方するアラブ諸国とシリア難民の関係以外については、難民受け入れが難民以外の人権侵害につながることも視野に入れて、難民受け入れが常に人道的であるかは考える余地があります。

         

         なお、キリスト教会は全体としては、難民一般への支援に積極的なようです。お金持ちではない僕も、何らかの難民のために今までにそれなりの金額を教会を通さないもののみでもしてきたかと思います。

        教育用事例:原価と食事の選択

        2020.03.07 Saturday

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           原価と食事の選択について、価格が同じならば原価が高い方が消費者にお得である、という原価計算の教え方が日本ではしばしばあるようです。スパゲッティでこの話をなさっている会計の専門家が僕の身近にも2人くらいいらっしゃったかと思います。小売店においてミート・スパゲッティとシーフードのスパゲッティがどちらも500円で、前者の原価が200円かつ後者の原価が300円なら、後者を買った方がお得だ、という具合です。しかし、原価についてのこの説明方法には誤りがあります。

           

           消費者は財・サービスからの効用を求めています。上述の数値例では、効用の大小が無視されています。ベンサムの功利主義の発想を活かして、効用を貨幣価値に換算して考えてみます。ある消費者にとってミート・スパゲッティからの効用が600円相当、シーフードのスパゲッティからの効用が550円相当とします。その消費者が前者を買えば100円相当、後者を買えば50円相当、得をします。この計算において、そもそも小売店にとっての原価は関係すらしていません。消費者あるいは家計にとっての費用はあくまでも500円だからです。会計学では主体を明確化する必要性が認識されていますが、小売店と消費者は別の主体なのです。

           

           効用を貨幣価値に換算して検討する、という発想は会計学においてはSROIに顕著です。しかし日本の学界ではSROIは反対されがちでおそらく好意的な教え方も大学で滅多にされていないでしょう。そのため、会計学を教える側の多くも効用を見る、という発想に慣れていないのでしょう。

           

           なお、僕には貝アレルギーがあります。シーフードのスパゲッティに貝が入っているとします。そのためシーフードのスパゲッティからの僕にとっての効用は-10,000円相当とします。しかし誰かに強制的に食べさせられるのでなければ、シーフードのスパゲッティから僕が得をする金額は-10,500円相当ではありません。誤って購入したならば、500円はサンク・コストです。つまり食べなければよいのです。よって僕が得をする金額は-500円です。

           

           

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          経済学からの少年法廃止の正当性

          2020.03.06 Friday

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             隠されているにせよ高校までの学校のある程度の割合では少年犯罪が横行していることでしょう。偶然、少年法廃止を心理学の観点も活用して唱えている医療法人社団である葛飾笑福会のウェブサイトを見つけました。少年法を理由に警察が被害届を受理しにくいこと、終戦直後と現代とでは児童を取り巻く経済環境が異なること、終戦直後に心理学がしていた発想と現代の心理学の見地が異なること、などに言及されています。現代の心理学の見地として、イェール大学のカズン先生からの引用がされています。僕はカズン先生と直接お会いしたことはおそらくないものの、カズン先生のお名前は存じています。現時点で僕には心理学の知識は教育心理学以外はあまりありません。しかし、心理学は行動経済学で活用されておりまた僕の知り合いの同志社大学の田口教授は会計学に心理学を活用しているので、僕も心理学に関心はあります。『ヒルガードの心理学』の原著の最新版の和訳が出版されるのが楽しみです。

             

             少年法廃止が、現在の形の日本の少年法についてはなくすこと、と緩やかに定義するならば僕も少年法廃止に賛成です。それは主に犯罪抑止のためと成人との公正さをもたらすためです。公正さを重んじるアメリカでは少なくともある程度、少年犯罪への厳罰化が実現しています。理性を尊重するアメリカでは少年犯罪によって終身刑となる事例もあり、何かにつけて加害者をかわいそうとする感情論の横行する日本では無理でしょうしアメリカは刑務所を過度に使用している面があるのですが、もしアメリカ並みに厳罰化すれば再犯防止も期待できます。 (もちろん高校までの学校の少なくとも一部の教師の腐敗やアメリカと異なり日本は法治国家ではないという現実があるので、被害者を陥れるために少年法廃止を腐敗教師や学校のアマチュア経営者や労働組合が悪用しないようにすべく、正当防衛の権利の運用上の確立と事前防衛の合法化も少年法廃止と同時に必要となります。) 僕が閲覧した葛飾笑福会のページでは、経済環境の話以外では経済学の見地は特に活かされていないようです。少年法廃止の正当性は経済学を活用すると分かりやすくなります。

             

             イェール大学のライバル大学であるハーヴァード大学のマンキュー先生は、インセンティブに懲罰が含まれるとした上でシートベルト着用の義務化の間接的な効果に言及なさっています。シートベルトとの話は、直接にお金の動きに影響しないけれども、インセンティブを考察するならば経済学が活用できるという事例です。こうしたインセンティブの説明の仕方は日本でも、僕が慶應の学生だった頃に経済学の授業でバスとトラックの運転手の話で学んだと思うので、珍しくはないと思います。もちろん説明の上手さではマンキュー先生は卓越しています。現行の少年法が設けられると更生の機会を与えるという直接の効果として期待されていたものとは別に、懲罰というインセンティブが減ったことで犯罪への抑止力が薄れてしまうという間接的な効果があったのです。葛飾笑福会は終戦直後における現行の少年法の意義は認めているようです。しかし経済学を活かせば、直接的な効果すらも心理学からして誤りであった以上、終戦直後からも既に現行の少年法を設けたことは愚策だったと分かります。

             

             日本では今日でも現行の少年法に意義があると唱える人々もいます。経済学においては、特にイギリスで言われている気がしますが、ある政策について強い関心を持つのは利害関係のある業界であり業界の外部者は関心が弱いので政策というものは歪むことがあるとされます。ここで言う業界は営利企業についてのみでなく、時として政府機関や民間非営利組織 (NFP) にも拡大できるでしょう。この現象は、アメリカと比べ保守的な国民性をした日本では深刻でしょう。実際に、現行の少年法の擁護者には現行の少年法に関して金銭関係のある人々もいます。賛否の意見は一律に受け止めるのではなく、むしろ予断を持って受け止めた方が違う者は違うように扱うという点で公正です。本気で現行の少年法の意義を認めている人々もいるかもしれませんが、日本文化はアメリカ文化と比べ倫理を尊重する文化ではないのでそうした人々ばかりではないでしょう。もちろん氏名や利害関係を伏せて現行の少年法を擁護する人々がいれば、利害関係の明示などを求めるアカデミック・インテグリティの発想を応用すれば、その人々はインテグリティを欠いています。

             

             少年法廃止後に効果をいかにしてチェックするかという問題もあります。日本の警察は機能不全に陥っているようなので、警察は被害届を拒否することにかなり力を入れていることでしょう。ある程度の犯罪抑止を少年法廃止はもたらすでしょう。警察がかなり入れていた拒否の力がなくなるので、ある程度少年犯罪が減っても政府がカウントする少年犯罪の件数は増えることでしょう。警察が今よりは被害届を受理し易くなる影響が大きいと見込めるのです。政府がカウントした少年犯罪の件数のみを根拠に犯罪抑止の効果を否定するならば、統計の用い方を誤っており経済学や経営学の研究において研究者の腕前が高いアメリカでは避けられるものです。チェックのためには例えば、少年法廃止前と後にフィールド・ワークなどによって児童が何を話しているかを調査するというものが考えられます。厳罰化されると自分たちが犯罪をしにくくなると児童が話しているのを、僕も千葉県内で聴いたことがあります。(なお、僕は警察の機能不全を解消して刑法による人民の法益を守るために有効活用する必要が日本社会にあると考えており、警察庁と警視庁といった地域での分け方をするのではなくアメリカのように中央政府の警察と地方自治体の警察に分けることで競争させ警察にもインセンティブを働かせるべきと考えています。)

             

             葛飾笑福会は虐待について知的好奇心を刺激することをウェブサイトに色々とお書きないるようですが、リンクを貼られることを当該法人から嫌がられるといけないので、この記事では参考文献一覧には挙げないでおきます。知的好奇心を刺激するウェブサイトは、それだけでも公益性があります。さらに、主張内容に公益性があるので公益性を要件とするNFPとして当該法人は機能していると言えます。

             

            ( ところで、アメリカのキリスト教に好意的な人々でないとあまり関心のない話でしょうが、カズン先生の発想は聖書とは整合性がよいと感じます。例えばイザヤ書とです。日本では悪人についての様々な幻想があります。日本のキリスト教徒の中には旧約聖書を軽んじる人々もいるようですが、アメリカでは日本よりはキリスト教徒の間で旧約聖書が尊重されており、僕はバルトなどを参考にすればアメリカにおける旧約聖書の位置づけの方が日本におけるものよりキリスト教神学の観点から正しいと考えています。聖書は生物学の進化論に賛否のどちらかは、日本では否定する人々がいることに注目が行きがちですが、実際はキリスト教徒の間では意見が分かれています。そして物理学のビッグバンには聖書は合致しています。心理学においても合致があるのかもしれません。アメリカには旧約聖書を尊重するキリスト教徒が多いから悪人に幻想を持ちにくく、少年犯罪への厳罰化が実現しやすかったのだ、という可能性も想像はできます。僕はラインホルド・二ーバーの唱えた使徒の預言者的役割をキリスト教徒たるもの果たすのが望ましいと考えているという意味では、正義について宗教的な利害関係ならば持っています。)

             

            参考文献

            N・グレゴリー・マンキュー『マンキュー入門経済学』第3版、足立英之・他訳、東洋経済新報社、2019年 (Principles of Economics, Eighth Edition, Cengage Learning, 2018)。

             

             

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            教育用事例:プラリアムによる大量生産

            2020.03.05 Thursday

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               フィフス・シーズンのAD2460は公益性がありそうな一方でビジネスとしては失敗の事例でしたが、ブラウザ・ゲームを配信する企業においても成功例があります。イスラエルのプラリアムはデジタル・ゲームのビジネスにおいて成功している企業の一つです。プラリアムはブラウザ・ゲームとインストール型の携帯向けゲームを展開しています。つまりネトゲと略称されるものを展開する企業です。プラリアムは英語では多くのゲームを展開していますが、日本語では一部のゲームしか展開されていません。そのためゲーム好きからもプラリアムは日本では知名度があまりないかもしれません。なお、歴史的にユダヤ人は工業技術が高かった影響からか、ユダヤ人の多いイスラエルは工業の一領域と言えるITに強い国です。

               

               会計学の発想からすればブラウザ・ゲームで利益を高めるには、収益を大きくするか費用を小さくするかその両方をするかです。工業においては、かつて自動車のフォードは大量生産をしました。大量生産というビジネスにおける工夫は、原価を小さくすることができます。そしてプラリアムは、ブラウザ・ゲームの大量生産をしているようなのです。そのことは、英語でプラリアムが展開しているブラウザ・ゲームを情報分野の知識を活用して見れば分かります。それらは1件を除いてコード (プログラム) が類似しているようなのです。経営者が従業員に新たに書かせるコードが少なければ、賃金 (会計学でよく使う言い方では給与) の総額を小さくできることでしょう。

               

               経済学からして、労働組合によって歪められはしますが、賃金という価格を含めて需要と供給によって価格というものはおおむね決まります。賃金の決まり方を踏まえれば、大量生産はブラウザ・ゲームを展開する企業として賢い工夫です。デジタル・ゲームの企業は世界に多数あるので、労働力への需要は大きいです。経営者による従業員の採用時に要求するプログラミング言語がPythonであれば、英語圏には人と通り習得している人々は多く労働力の供給が多いです。ちなみにPythonは無料でインストールすらできます。ところが、デジタル・ゲームの開発にPythonは使えなくはないものの、少々使いづらいのです。実際にもプラリアムはPythonを使っていないようです。労働力の供給の少ないプログラミング言語を使用するわけなので、需要が大きいことと併せて考えると、特に工夫しない場合は賃金は高くなってしまいます。そこで賃金の総額を小さくする工夫が要るわけです。

               

               ただしプラリアムの名誉のために申しますと、コードが類似しているとしても、いくつものブラウザ・ゲームを展開していることに顧客からしての魅力がないわけではありません。各ブラウザ・ゲーム毎に画像の工夫などがあるからです。

               

               ここで、日本では売上高を重んじる経営者が多いこともあり、収益を大きくするという選択肢をデジタル・ゲームの企業も採ればよいではないか、という疑問が読者から挙がりそうです。そこでそちらについて解説しておきます。デジタル・ゲームの内でネトゲと略称されるものには、日本でガチャと呼ばれるビジネス上の工夫がしばしばあります。ガチャとはランダム性のある課金要素のことです。しかし、ガチャは消費者保護がそれ程厳しくない日本においても社会問題となっている程であり、企業側からすれば長期的なコンプライアンスの観点からして収益を挙げるために頼りづらいのです。ガチャの他に効果的かつ効率的な収益を大きくする方法があればよいわけですが、企業がその方法を見つけるのは難しいでしょうね。だからこそ、大量生産という原価削減方法を選んだプラリアムは賢いと言えるでしょう。

               

               

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              教育用事例:営利企業による寄付集め

              2020.03.04 Wednesday

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                 寄付を集めるのは典型的には民間非営利組織です。しかし営利企業が寄付を集めている事例もあります。無料でもプレイしうるブラウザ・ゲームにおいてはドイツのゲームフォージによるOGameはSF好きからの知名度が高いでしょう。OGameは日本語によるサービスもあります。SFもののブラウザ・ゲームとしてはこの他にノルウェーのフィフス・シーズンによるAD2460があり、無料プレイが可能でした。ただしAD2460は日本語によるサービスがなかったようなので、日本では知名度が低そうです。ノルウェー語ではなく英語によるサービスはありました。今年3月でAD2460は正式サービスを停止しました。フィフス・シーズンは寄付を集めていました。AD2460はノルウェー映画研究所とノルウェー研究評議会からは資金提供を受けていました。しかし寄付では十分な金額が集まらなかったのでしょう。

                 

                 フィフス・シーズンの関係者がどこかで表明していた気がするのですが、人的交流の促進という公益性がAD2460にはあったようです。そしてAD2460のプレイヤーたちの交流はPvPが盛んにありつつも実際に友好的だったようです。人的交流の促進に公益性があるというのはノルウェーを含む北欧の福祉国家に特徴的な発想です。ただし僕は所得再配分やベーシック・インカムを全否定はしていませんが、福祉国家には反対です。またノルウェー映画研究所が支援したということは、芸術性が認められていたのでしょう。ゲームも芸術性を持ちうる、とノルウェー映画研究所は考えているのでしょう。芸術にも公益性はあります。フィフス・シーズンは社会的企業ではなさそうですが、一部のサービスであるAD2460には公益性があったのでしょう。

                 

                 社会的企業でない営利企業のサービスも公益性を持ちうるというこの発想は、日本においても地域振興のための営利企業によるショッピングモールの展開などにあてはめられそうです。

                 

                 

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                AAHのウェビナールに二回目の参加

                2020.02.29 Saturday

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                   日本時間で昨日の夜から研究室に泊まり込んで今日の早朝、AAHのウェビナールに二回目の参加をしました。体力は消耗しますが、参加する価値のあるものでした。学術的な面で、僕が所属しているどの日本の学会の全国大会や関東部会よりも僕にとって聴く価値のあるウェビナールでした。論文や学会報告で活用できそうなのです。早速2019年度中に活用する可能性もあります。今回は3名の先生が一本ずつ論文を報告なさいました。やはり今回も小テストがあり、前回の小テストよりは僕は自信があります。リスニングも前回のウェビナールよりは上手くできた気がします。英語で聴いて和訳せず英語で理解していたつもりです。

                   

                   僕が三本の論文で最も興味を持ったのは、ロバーツ先生のものです。社会学を活用して公認会計士の世襲について研究したものです。そしてロバーツ先生は、ニューヨークにおいては世襲は多かったと主張なさっています。日本でも公認会計士の世襲は多そうですが、日本社会は日本に都合の悪いことは隠したがる傾向がアメリカよりも強いでしょうから、中々このような研究は日本では困難でしょう。民間人も学問の自由を尊重するアメリカ文化をこのウェビナールからも感じます。また、ロバーツ先生はプレゼンテーションの技術も高かったです。僕もネイティブ・レベルの英語力に達することで英語での学会報告においても上手くプレゼンテーションできるように早くなりたいものです。ただし、会計学ならではの要素はロバーツ先生のご報告では薄かったです。もしかするとペーパーになさる際には会計学ならではの要素がそれなりに加わるのかもしれません。

                   

                   

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                  コミュニケーション能力の定義の差異

                  2020.02.28 Friday

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                     日本企業はエントリーする学生にコミュニケーション能力を要求する傾向にあります。コミュニケーション能力とは何か、という定義は株主と経営者とでおそらく違います。こう考える根拠は、エージェンシー問題にあります。日本社会においても経済学の知識があればエージェンシー問題を様々な関係性に見出せます。株主は利益を高めてほしいので、論理的思考に基づいた議論ができるか、などをコミュニケーション能力に含めているでしょう。一方で経営者は、日本企業においてはアマチュア経営者が主流です。ほとんどのアマチュア経営者は倫理観のあるMBAホルダーとは別物です。そのため、株主のために利益を産むのではなく自分の支配欲を日本企業の経営者は満たすべく、アマチュア経営者自らも一体となっている空気への迎合を学生に求めてそれをコミュニケーション能力と呼んだりするでしょう。

                     

                     そもそもコミュニケーション能力というものは曖昧です。かつて西洋のある企業の経営者が慶應で語ってくださった時、その西洋の企業はコミュニケーション能力よりも技能を重んじていたと思います。教育はコミュニケーション能力よりも技能を重んじて実施した方が、目的をはっきりさせた教育ができるでしょう。現在の日本の大学教育では技能が軽視されがちに感じます。また、株主主権を確立することでアマチュア経営者ではなく株主の意向が反映されるようにして、日本企業でも技能が尊重されるようにすることが、就職より前の教育の質を高めるでしょう。

                     

                     

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                    水谷ゼミについてのQ&A第一弾

                    2020.02.22 Saturday

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                       僕の公式ウェブページの方にも同じものか類似したものをアップロードするかもしれませんが、水谷ゼミについてゼミ選び中の関東学院の経営学部生が持ちそうな疑問への回答集第一弾を掲載いたします。ここで言う水谷ゼミは、大学院ではなく学部の専門ゼミのことです。もちろんゼミ選び中の方々が、機会がある時にこの第一弾と重複する質問を僕になさっても構いません。

                       

                      Q:水谷ゼミは単位を取りにくいのではないか?そういう噂があるし、卒業生の進路状況が良好過ぎて卒業までに進路が良好になりそうにないゼミ生を退会にしているのではないか、という論拠がある。

                      A:単位は、ご自分から水谷ゼミをやめず出欠状況が良好で卒論を出してくれれば、素行不良でもない限り今のところ全ての水谷ゼミ生が取得しています。事実に反した噂に惑わされないでいただけると幸いです。卒業生の進路状況は確かに良好であり最近では2019年3月の卒業生の平均的な進路状況は豪華と言える程ですが、それは主に卒業生たちが在学中に努力して学習したから就職・進学先から高く評価されたのでしょう。多国籍企業や外資系企業への関心が水谷ゼミで高まりエントリーの機会を逃さなかった、という面もあるかもしれません。

                       

                      Q:中学英語で授業についてこれるというのは、建前であって事実ではないのではないか?

                      A:建前ではなく事実です。中学英語で本当に授業についてこれますので、水谷ゼミに関心のある学生は安心してエントリーしてください。証拠としては、僕は敬虔でないもののキリスト教徒ですから宗教上の理由で嘘をつける局面は限定されており、たとえ建前という嘘をもしつきたくてもつけませんから。また、ある水谷ゼミ生もBATICの入門レベルの学習について、中学英語の知識で何とかなると僕におっしゃっていたと思います。同時に、高いビジネス英語の技能を身に付けたいという水谷ゼミ生が現れれば、オフィス・アワーや電子メールを活用することでご支援可能です。

                       

                      Q:水谷ゼミで会計学を学ぶには数学の高い知識が要るのではないか?アメリカの実証会計学では実際に高度な数学を活用しているし、水谷はPythonと会計の連携に関心を持っているから。

                      A:2019年度の水谷ゼミの教科書はいずれの年度のものも高度な数学を読者に要求してはいません。例年2年生向けに使用している『アンソニー会計学入門』は確かにアメリカの教科書の和訳ですが、高度な数学が分からなくても読め、おそらく算数の水準で足りすらするでしょう。同時に、卒論でアメリカの実証会計学やPythonの活用を扱いたいという水谷ゼミ生が現れれば、指導可能です。

                       

                      Q:会計機Ν兇反綯ゼミの教育内容は大きく重複していて、会計機Ν兇鰺修済みなら水谷ゼミに入っても知的な刺激が足りないのではないか?

                      A:会計機Ν兇反綯ゼミの教育内容との間には関係はありますが、重複は多くありません。会計機Ν兇郎潦愧罎龍軌藐果を高めるべく、関東学院に設置されている他の科目との連携を意識して設計しています。そのため会計機Ν兇郎睫害餬廚抜浜会計との双方にかなりの言及をしますが、水谷ゼミは3年次までは財務会計にほぼ特化しています。また、会計機Ν兇麓駄海悗猟樟椶粒萢僂できる内容の比重が相対的に高めですが、水谷ゼミでは理論の比重が相対的に高めです。もちろん理論は、実務に応用して活用することができ、大学院進学をする場合や専門的な実務に従事する場合に特に有益です。そして知的な刺激については何と言いましても、水谷ゼミ生の多くが水谷ゼミの学習を楽しんでくれています。ボードゲームを使った学習をしている点も、知的な刺激を与え易くなっている点でしょう。

                       

                      Q:専門ゼミによっては合宿がないが水谷ゼミはしばしば合宿があると知っているが、宿泊する部屋はどうしているのか?

                      A:男女で分けています。兄妹や学生結婚をしている夫婦の場合は例外となるかもしれません。一人部屋への宿泊も値段は高くなりますがホテル側が認めてくれれば可能です。実際に本人の希望で一人部屋となったゼミ生も過去にいます。なお、教員はゼミ生とは別の部屋に宿泊しています。なお、ゼミ生の皆様から合宿を決行しようという希望が出ずに合宿をせずに卒業した年度のゼミ生も過去にいます。なお合宿を実施する際は通常の授業へのご出席に支障が出ないようにしていますので、その点もご安心ください。

                       

                      Q:水谷はコネはあるのか?

                      A:僕と交流のある方々は、学界には国内にも海外にも大勢いますし、実務界には国内に少しいて海外にそれなりにいます。学界ではいくつかの学会の会長とも交流がありますし、実務界では外国の高官や世界経済において中心的な役割を果たしている海外企業の経営者の中に交流のある人物もいます。不公正な関係を前提としたコネとは別物です。研究者志願者については、当該水谷ゼミ生の技能と品行次第で学界の交流ある研究者に紹介可能ですから、大学院進学希望者には水谷ゼミはお勧めです。就職志願者については、やはり当該水谷ゼミ生の技能と品行次第で直接の交流のある相手でも間接的に僕からアピールできる相手でも推薦状を書くことがあり得ます。あくまで推薦状であり、コネ採用とは別物です。

                       

                      Q:水谷ゼミに留学生が多いのはなぜか?

                      A:国際会計基準を教える専門ゼミであることと、僕が曲がりなりにも多言語話者であることが主な理由だと思います。関東学院大学経営学部への留学生は中国本土とベトナムからの方々が多いようですが、中国本土でもベトナムでもIFRSが実質的に採用されていますので、帰国した場合も水谷ゼミでの学習を役立て易いのでしょう。もちろん日本人学生もいますし、今後も日本人学生のエントリーも留学生のエントリーと同じく歓迎です。そして日本においても実務においてはIFRSの活用機会はあります。留学生を日本人学生よりも優先して面接で採用しているわけではありません。面接においても成績評価においても、国籍に関して平等権は守られています。そして日本人と留学生が一緒に学習することで、お互いに知的な刺激が高まることでしょう。

                       

                       

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