授業実践研修会で報告

2014.01.29 Wednesday

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     今日、経済学部のプレゼミ授業実践研究会で報告をしました。僕が経営学科長の辻聖二教授から与えられたテーマは、プレゼミの問題点と意外と上手くいった点についてです。

     自分の経験ばかりに頼っては信頼性の低い報告になってしまいますから、報告のために資料を探しました。プレゼミは基礎ゼミと異なり、日本ではほとんど設置されていないのみならず、大学教育の先進地アメリカでもほとんど設置されていないようです。プレゼンテーション技術に特化した授業、つまり修辞学的な授業、は日本でもアメリカでもそれなりの数の大学に設置されているでしょうが、プレゼミはその名の通りゼミナール形式でありかつプレゼンテーション技術以外についても学びます。

     ハワイ大学にプレゼミと類似した授業があることを知り、今回の報告でもハワイ大学の事例を参考にしました。ハワイ大学のプレゼミは、関東学院のプレゼミとは運営手法に差異がありました。その差異が、関東学院のプレゼミの問題点として僕が気付いた点への対策になることを期待しながら、今日は報告をしました。報告が学生たちのためのプレゼミ改善に役立てば幸いです。
     
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    研究の素:企業倫理は三種の神器を制約する

    2014.01.27 Monday

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       僕の研究分野は民間非営利組織会計ですが、他の分野についても研究の素が浮かぶことはあります。しかし他の分野を研究する余裕がありません。そこでそういった研究の素を他の研究者と共有し、他の研究者に研究してもらった方が学界の発展につながります。このブログに研究の素を時々掲載していくつもりです。

       年功序列・終身雇用・企業内労働組合から成る日本的経営の三種の神器は、企業が利益を挙げるためという観点からすれば便利な道具としてしばしば挙げられます。経営学では多くの場合、手段を選ばず利益を追求してよいとは考えず、企業倫理による制約の下で利益を挙げることを考えます。しかし三種の神器が企業倫理に反している点についての研究は国内では少ないようです。それでも多少は先行研究があり、例えばアメリカで修士号を取得なさった鶴岡先生のものがあります。さて、実際には三種の神器は企業倫理に反していると思われます。
      • 年功序列…年齢差別です。日本社会には雇用以外でも年齢差別がありますが、アメリカでは「年齢差別禁止法」で年齢による採用の差別が禁じられていますし、他の国々にも年齢差別への規制があります。
      • 終身雇用…一見労働者にとっての権利に見えるかもしれませんが、労働者の外部への異動の支障となります。経営者は労働者に忠誠を尽くさせるために終身雇用を採るのでしょうし、労働者の異動を忠誠心がないと外部も蔑視するおそれがあるからです。
      • 企業内労働組合…労働組合の視野を狭めます。たとえば外資化に際して就業規則を相手国に合わせて変更することは、社会全体では労働者に働き方の選択肢を与えることになりますので職能別労働組合であれば許容されるかもしれませんが、企業内労働組合では既得権益に固執して変更が妨げられるおそれがあります。

       倫理は人としての道徳ですから、経営者や労働者を日本人である前にまず人であると捉え、日本のみの「道徳」ではなく普遍的な道徳を適用するべきです。

       日本的経営の三種の神器は主に大企業にあてはまるものですが、日本では学校法人など大企業以外でも三種の神器を採っていることがあります。例えば関東学院での教員の昇格も、キリスト教主義の大学であるにも拘らず年功序列であり(マタイの福音書に違反していると思いますが)、研究業績や教育業績があっても例外的な昇格は困難です。僕も関東学院の終身雇用の対象となっていますが、アメリカのほとんどの大学は終身雇用はテニュアの取得時などに限られます。僕はアメリカへの異動を希望していることを学内で公言していますが。僕は関東学院の労働組合に、少なくとも一時的には入っていますが、大学内労働組合です。この研究の素に解答をお出しになれば、大企業以外にもある程度適用できることでしょう。
       
      参考文献
      鶴岡公幸「最終回 MBAで学ぶ企業倫理(Corporate Ethics)とは?」『ビジネスパーソンのためのMBAの基礎知識』2012年(http://bizacademy.nikkei.co.jp/management/mbabasic/article.aspx?id=MMACzq007003072012).
       
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      2013年度ゼミ4年生からの花束・寄せ書き

      2014.01.23 Thursday

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         水谷ゼミ4年生から正課15回の最後である今日、花束と寄せ書きをいただきました。これらをいただけることは予想しておらず、思いもよらない喜びでした。しかも寄せ書きは儀礼的なものではなく、中身のあるものでした。2014年度以降の4年生に僕からこれらを求めるつもりはありませんが、2013年度4年生のご三方に感謝しています。

         水谷ゼミ4年生の卒業前の活動は、小規模なやり取りを除けば、残るは合宿を1回予定しているだけです。しかし、ゼミ生とは卒業後も僕か卒業生のどちらかからアクセスをとる可能性は高く、卒業したからといってもう会わないというわけではありません。卒業生は必要性が生じましたら、その時点で水谷が関東学院にいようと海外の大学にいようと、お気軽に水谷にアクセスなさってください。
         
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        大学礼拝へのお誘い

        2014.01.21 Tuesday

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           八景キャンパスでは、大学礼拝が持たれています。八景キャンパスでの大学礼拝の説教を担当したことのある牧師の一人から、学生にお誘いをかけてほしい旨を伝えられました。ご関心がおありでかつ差し支えのないの学生は大学礼拝にご出席ください。信仰上の差し支えが一部の学生にはありそうな部分は、讃美歌を歌う…もしかしたらアーメンとも言う…というあたりです。

           ノン・クリスチャンの学生に対しましても、教養としてキリスト教の礼拝がどのようなものか体感しておくことは僕としてもお勧めです。他のいくつかの学部とは異なり、経済学部ではキリスト教関連科目が2013年度は必修となっていません。そのため教養としてのキリスト教についてもほとんど学ぶことなく卒業する学生がいらっしゃるでしょう。キリスト教関連科目を履修なさっていなくても、せっかくキリスト教主義の大学に在学なさっているのですから、大学礼拝を体験することをお勧めします。日本にはキリスト者が少ないですがキリスト教は世界では最大の宗教ですので、礼拝を体験なさることからは教育効果を期待できます。

           どの回の大学礼拝にご出席になるかは、7号館1階の掲示板に掲載されている説教者とチャペル付近に当日置かれている看板に掲載されている説教テーマをご覧になってお選びになるのがよいでしょう。僕自身は、経済学部の教員が説教を担当する回の大学礼拝に出席したことがあります。このように身近な教員が説教をする回に出席する、というのもありだと思います。
           
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          勇敢なケネディ大使のご発言

          2014.01.20 Monday

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             アメリカのキャロライン・ケネディ駐日大使が1月18日に、「イルカが殺される追い込み漁の非人道性」をご自身のTwitterでご批判なさいました。影響力ある大使を恐れた捕鯨利権保有者や国粋主義者が、大使に危害を加えないとも言い切れない情勢にもかかわらず、イルカ漁を批判なさった大使は勇敢であり尊敬に値します。政治家にふさわしいのはケネディ大使のような道徳心の高い人物です。

             イルカの追い込み漁は、イルカにパニックを起こさせるという手法を使います。また、イルカを死なせるまでに長時間叩く事例が発覚しています。これらの点が、家畜を死なせる際と比べて残酷です。アカデミー賞受賞作品でありながら日本では視聴の機会が少ないドキュメンタリー映画、『ザ・コーヴ』を近々見てみたいです。このようなイルカ漁の問題を人道問題とケネディ大使が解釈なさった点は、日本社会の諸問題を何の問題であるか整理する上で有用な示唆を与えてくれます。

             日本の官房長官は伝統を盾にケネディ大使のご発言に反対しています。国粋主義的な第一次安倍政権による改悪教育基本法には、「伝統と文化を尊重し」という人権・人道をリスクに曝す文言があります。国粋主義者はイルカ漁についても伝統を盾にした教育をしたいかもしれません。しかし、イルカの追い込み漁が仮に伝統であるとしても、伝統などというものに普遍性はないのですから固執するべきではありません。

             日本の国粋主義的政治家とケネディ大使とでは、道徳心の有無が対照的です。ケネディ大使のご発言で僕は米国連邦政府への好印象を高めました。人道という普遍的な道徳による外国人からの日本への介入が今後もなされることにより、日本の人権・人道状況の改善が起こってほしいところです。

             
            参考文献
            Earth Island Institute, "Take Action Frequently Asked Questions", Save Japan Dolphines, 2014 (http://savejapandolphins.org/take-action/frequently-asked-questions)
            キャロライン・ケネディ「キャロライン・ケネディ駐日米国大使」(https://twitter.com/CarolineKennedy)
             

            授業でギミックを使う

            2014.01.09 Thursday

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               学習は楽しくできた方が学生の皆様にとってよいでしょう、と考えまして授業にギミックを導入しています。iPadを使ったインタラクティブ教育システムBeeDanceは会計学を教えるの便利ですが、大掛かりなのでギミックとは呼べないでしょう。僕が大学教育に使っているギミックは、ビンゴ・マシンとコーリング・ベルです。どちらも私費で購入しましたのでお財布は痛みますが、仮に僕が海外の大学に異動してもそのまま持っていけるというメリットもあります。

               教育にギミックを使うという発想は外資企業では日本でも採用事例があります。ある外資の銀行は、従業員教育にゲームを使用していました。ボード・ゲームだったかと思います。外資企業は合理的な手法を色々と使う傾向にありますから、ギミックの採用も有効なのでしょう。外資企業のみならず大学にとっても、それが教育であるならば。

               授業においてビンゴ・マシンは、指名する学生を選ぶときに使います。ビンゴ・ボールに書かれている番号で学生を決めるのです。コーリング・ベルは、時間制限のある活動を学生たちにしてもらう際に、一定の時間経過を示します。鳴らす回数でどれだけの時間が経過したかが分かるようにしています。

               なお、コーリング・ベルは学会でも使用されています。
               
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              2013年度履修者の会計事務所見学

              2014.01.08 Wednesday

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                 昨日1月7日に水谷ゼミの2013年度履修者の内、2年生と4年生の合同で会計事務所見学に行きました。水谷ゼミは理論を重視しますが実務を無視しているわけではなく、今回の見学は実務についての学習の一環です。関東学院では今年度会計事務所見学に行った専門ゼミは水谷ゼミしかないかもしれませんが、日本国内でも大学によっては会計事務所見学を教育の一環に採用している先生たちがいらっしゃいます。

                 また今年度は2年生の専門ゼミが学生側都合で休講になった回があったことなどから、2年生も4年生も正課の授業として見学に行きました。2013年度以降に水谷ゼミが新規募集する学生の皆様には合宿の確定した予定はないものの、会計事務所見学などは教育上の見地から義務的な参加として連れて行くつもりです。

                 見学を引き受けてくださったのは、中国の大手会計事務所信永中和会計師事務所の日本法人である、信永東京有限責任監査法人です。立地はJR新橋駅付近ですので、都会です。同監査法人の会議室で、博士号をお持ちの代表社員のお一人から学生たちにお話をしていただきました。貴重な機会であり、学生たちにとって大いに学習になったことでしょう。また中国語の飛び交う信永東京の環境は、学生たちに国際的なビジネスのイメージを与えたでしょう。オフィスは、入口を挟んで会議室の反対側にありました。信永東京に、僕は感謝いたします。

                 なお、2013年12月まで知らなかったのですが、僕の友人の一人が信永東京に勤務していました。見学時に久しぶりにその友人に会うことができました。
                 
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                経営分析を一通り学習した方々へ

                2014.01.07 Tuesday

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                   関東学院には経営分析を専門とする専門ゼミがいくつかあり、他にも経営分析の授業があります。経営分析を一通り学習した学生の皆様にお勧めなのは故パレプ先生たちによる『企業分析入門』第2版です。この書籍はアメリカの理論的な教科書の和訳です。12ページの図をご覧になると経営分析の仕組みが簡単に分かるでしょう。第10章に日本の教科書にはあまり登場しない予測財務諸表の作成方法が記載されていることにも注目です。ただし『企業分析入門』は元々大学院生向けに書かれた教科書でありやや難しいので、学部の段階では必要な個所のみを教員のアドバイスを受けながらお読みになるのもよいでしょう。
                   
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                  TPPにどちらかというと賛成

                  2014.01.04 Saturday

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                     僕は国際主義に立っていますので、ヒト・モノ・カネの移動自由化を促進するべきだと考えています。特にEUの成立・拡大には肯定的な評価をしています。そのため環太平洋パートナーシップ、略称TPP、がベストな案であるかどうかはともかく日本も何らかの形でこれら移動の自由を進めるべきと考えています。TPPは基本的にはモノの移動の自由化に特化しているという点で不十分な枠組ではありますが、それでも僕はTPPにはどちらかというと賛成です。ベストでなくともベターな案と考えているのです。

                     TPPについて日本で言われるときには日本にとっての経済的利害が強調されることがよくあります。しかし道徳上は国民に過度の負担を負わせない範囲で日本以外の国々の利害をも考えるべきです。僕は広い意味では経済学者ですが、民間非営利組織を研究しているため道徳も重視しています。関東学院はキリスト教主義の大学であり新約聖書は国際主義ですから、関東学院関係者は道徳面も考慮に入れる必要性が本来高いでしょう。

                     あまり可能性が高いとは感じませんが、TPPによってGDPにはマイナス影響はもしかすると出るかもしれません。つまり日本経済にはマイナス影響がありえないとまでは僕は言いきれません。しかし日本経済の衰退は国威には都合が悪くても、国民に不利益がなければよいのです。つまりGNPが維持または向上すればよいのです。日本経済の衰退に国民を巻き込まないようにするには、ヒトの海外への移動も自由化するべきです。TPP参加国全体では経済にプラス影響を見込めますから、ヒトの移動が自由化されればGNPにはマイナス影響がないでしょう。そもそも移動の自由は国境を越えたものであるべきで、TPPと関係しなかろうと日本は国民を土地に縛り付けることなくヒトの移動の自由化をするべきです。

                    (日本には農業関係者を典型として輸入制限による利権を持っている人々がおりその利権を前提とした経済になっていることが、他産業に及ぶ連鎖倒産などの日本経済へのマイナス影響の可能性がTPP導入時にある元凶でしょう。もしTPPが日本経済にマイナス影響を与えた場合に、法的な遡及にならない範囲で…法的な遡及は人権を危機に曝しますでここは注意が必要…利権を持っていた人々に個人財産による債務履行義務を負わせるなど、経済的責任を取らせることを日本社会は検討するべきです。もちろん農業関係者全員が利権を持っているわけではないですから、利権を持っていたか否かを識別することも重要になります。経済的責任を取らせることで日本経済へのマイナス影響は緩和されるでしょう。日本では責任のない人々が責任追及されることがある一方で、様々なことについて誰に責任があるかを明確にすることは不毛という考えが見受けられます。しかし責任の明確化は、責任のない人々全員か少なくとも責任のない人々の一部にとっては有益なことです。)

                     とにかく、国際主義の観点から個人や法人が国籍に縛られずに行動できる社会が望ましいと僕は考えているため、TPPにどちらかというと賛成なのです。より理想としては、北東アジア以外ともTPPなどで提携した上で、EUのような共同体を北東アジアの国々で形成することです。国境に遮られない国際社会が理想なのです。
                     
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                    『アンソニー会計学入門』を読みましょう

                    2014.01.03 Friday

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                       学生の皆様には広い視野を持っていただきたいので、日本のみでなく海外の理論をも学ぶことをお勧めします。学部1年生であっても容易に理解できる内容、かつ上手く和訳されている会計学の書籍として、『アンソニー会計学入門』第2版があります。

                       水谷ゼミ2年生に対しては『アンソニー会計学入門』を教科書にしていますが、2013年時点では関東学院の会計学教育は日本の実務や理論が中心であり海外の学説はほとんど学ぶ機会のない学生たちも多いでしょう。分厚い書籍ではありませんから水谷ゼミ以外の学生の皆様にも、財務会計にご関心がおありでしたら、お時間のある時に少しずつ読み進めることをお勧めします。

                       この書籍に限ったことではありませんが、日本の理論会計学の代表人物の一人である慶應義塾大学の笠井昭次名誉教授にならい、学術的な文献は一字一句読む精読をお勧めします。

                       故アンソニー先生は学界に影響力あるアメリカの会計学者でした。『アンソニー会計学入門』は実務を絶対視しない理論的な書籍です。会計学の話題を広く扱っています。この書籍を読めば、アンソニー学説の概要を知ることができます。この書籍を読み終えてくださいましたら学生の皆様が海外の理論に関心を強めてくださるのではないか、と僕は期待しています。

                       旧版も和訳が発行されていましたので、お探しになるときは第2版であることを確認するようにご注意ください。特にアメリカでは版が異なると内容も大きく異なることがよくあります。『アンソニー会計学入門』は八景キャンパスの図書館にも所蔵されていますので、ご購入にならなくてもお読みになれます。もちろん、ご購入になっても損はないでしょう。
                       
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